・・・ 今日、日本の民主化をいうとき、私たちは、はっきりブルジョア民主主義の完成にたいして実力をもっていない日本のブルジョアジーの歴史性を理解し、日本の社会の半封建性を打破して近代民主主義を確立するものは、ブルジョアジーそのものの半封建性に革・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・ 個人個人の間の恋愛形態が社会にどれだけ連帯責任をもつかということよりはむしろ旧時代の恋愛および結婚生活が絶対のものであるという私有財産制から発生したブルジョア一夫一妻制の宗教的考えを打破するに急であった。 だけれども現在は建設時代・・・ 宮本百合子 「ソヴェトに於ける「恋愛の自由」に就て」
・・・ 個人個人の間の恋愛形態が社会にどれだけ連帯責任をもつかということよりはむしろ旧時代の恋愛および結婚生活が絶対のものであるという私有財産制から発生したブルジョア一夫一妻制の宗教的考えを打破するに急であった。だけれども現在は建設時代に進ん・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・発言をおさえられ、おさえる力を系統的に打破してゆくことができなかった反ファシズムの心があったからこそこの日本で、今日世界の平和に役立とうとする熱情があるのです。 かつてはグルーの知ることのできなかった日本人民の意志を、人民として世界に共・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・しかしこの方面の批評をした人の中には、「世間がファウストを本質以上に買い被っていた迷を、私の平俗な文と演出者の率直な技とで打破したのだ、私と演出者とは偶像破壊者だ」と云った人もある。これは一種の諷刺のようにも聞き取られるが、ある友達の云うに・・・ 森鴎外 「訳本ファウストについて」
・・・哲学者は急に熱心になって霊魂不滅の信仰が迷妄に過ぎないこと、この迷妄を打破しなければ人間の幸福は得られないことを説いて彼を反駁する。彼は全能の造物主を恐れないのかときく。哲学者はこの世界が元子の離合集散に過ぎないこと、現世の享楽の前には何の・・・ 和辻哲郎 「『偶像再興』序言」
・・・「すべての不正を打破して社会を原始の純粋に返せ」と叫ぶ者は狂人をもって目せらる。姑息なる思想! 安逸に耽る教育者! 見よ汝が造れる人の世は執着を虚栄の皮に包んだる偽善の塊に過ぎぬじゃないか。要するに現代の道徳は本義として「物質的超越と霊的執・・・ 和辻哲郎 「霊的本能主義」
出典:青空文庫