・・・ よし又、教員として技量に自信を持たなければ家政婦としても、家事助手となっても、生きて行く道は数多あります。方法が見出し難いと云うのは、寧ろ自己弁護であるようにさえ思われました。詰り、良人に対する真心の愛は案外薄弱なもので結局第三の良人・・・ 宮本百合子 「ひしがれた女性と語る」
・・・秋田の鉱山に生い立った彼女は、プロレタリア文学運動の時代、婦人作家として一定の成長をとげた技量を、現在の多面な民主的政治的活動のうちに結実させようとしている小説「尾」そのほか多くのルポルタージュ、民主主義文学についての感想などがかかれはじめ・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
・・・――だからね、ダーシェンカ、三百円は、私にとってただの金ではないんですよ、命の一部分なの、それを、ね、ダーシェンカ、そんな思いでためている金を、私より技量のある、丈夫なエーゴルに騙りとられて黙っていられるでしょうか、ね、ダーシェンカ」 ・・・ 宮本百合子 「街」
・・・己は遣って来る人の性質や伎倆や境遇を見て、その人に出来そうな為事を授けるのだ。それで成功したものが、これまでに随分あるよ。妻がいつも傍で聞いていてそういうのだ。あなたそんなにお金になるような事を沢山知っていらっしゃるなら、御自分で少しして御・・・ 森鴎外 「里芋の芽と不動の目」
・・・ 八、創作家としての伎倆 少し読んだばかりである。しかし立派な伎倆だと認める。 九、創作に現れたる人生観 もっと沢山読まなくては判断がしにくい。 十、その長所と短所 今まで読んだと・・・ 森鴎外 「夏目漱石論」
出典:青空文庫