・・・今日の世の中で勝手気儘に振舞うためには、それだけ金が要る。日本の労働組合は一生懸命に同じ労働に対する男女の同じ賃金を求めて闘かっているけれども、実際に婦人のとる給料はまだ男よりも少ない。しかし女の子の方が身なり一つにも金がかかる。絹の靴下は・・・ 宮本百合子 「明日をつくる力」
・・・失われた笑いと大声で遠慮なく喋ることと、人前に立って遠慮なく振舞う自由さを若者らしい陽気な演芸会が振りまき始めている。自分をどういう形にして、正直に表現して行くという大切な人間らしい習慣は、特に日本では重大に考えられなければならない。中学生・・・ 宮本百合子 「青年の生きる道」
・・・それを包んで、彼女を立ててあげようと振舞うような性格に自分は生れ付いて居ない。Aを取るか、母上につくか。 自分は、どうして責任を以て開いた彼の新生活を絶望させられよう。彼が、私一人の愛によって、何が自分を待迎えるか予想もつかない新生涯に・・・ 宮本百合子 「小さき家の生活」
出典:青空文庫