・・・に書いてある方式通りの測り方をするようでは実験を練習する甲斐はほとんどない。これでは小使にでもやらせてその結果の報告を聞くだけでもよいようなものであろう。ビーカーに水を汲むのでも、マッチ一本するのでも、一見つまらぬようなことも自分でやって、・・・ 寺田寅彦 「物理学実験の教授について」
・・・学校教育の方式の中に当然入りこんできているキャナライゼーションとマス・コムュニケーションのプラスとマイナスの面を研究する必要があります。アメリカの文化がより幸福なものとなるためにはやっぱりこの点を検討してみなければならないでしょう。〔一九四・・・ 宮本百合子 「アメリカ文化の問題」
・・・現代文学が主題とするヒューマニズム探求の一環として見た場合、D・H・ローレンスの文学は、こんにちの現実を解明するためにローレンス氏方式ではすでに不十分であることを、明かにして来ているのである。 敗戦後の日本に、肉体派とよばれる一連の文学・・・ 宮本百合子 「傷だらけの足」
・・・という形が考えられているうちは、たとえそれが部分的にかなりゆきとどいた方式でされようとも、世界人類の頭上を不吉なはげたかのように舞っている不幸の本質がとりのぞかれることにはならない。その「救済」さえ日本ではなげすてられている。戦争によってひ・・・ 宮本百合子 「『この果てに君ある如く』の選後に」
・・・地球上幾億の翔ぼうと欲している男女はイカルスとしてあらわれて来ているし、その翼は、膠で背中へつけた二枚の羽根ではなくて、飛ぶ可能を万人に与えるような社会条件をつくり出してゆく科学の諸方式と集団的なその実行となってきている。イカルスも、プロメ・・・ 宮本百合子 「なぜ、それはそうであったか」
・・・現実での暴虐、流血を神秘主義に色どって、その強烈さで、理性を麻痺させることは、ヒトラーの方式であった。その拙劣な真似に、日本の軍部の方式があった。「暁に祈る」が、その名称そのもので実証した。 黄色い特派員 ・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・きょうのあらゆる社会の現象は、その間に発展し、複雑化し、爛熟した世界の資本主義がもたらす必然的な諸事情に関係していて、その激甚な矛盾、相剋、その発展の統一の方式が現代の世紀の課題であるということを、一九三三年に、ルネッサンスを叫んだ人々は認・・・ 宮本百合子 「真夏の夜の夢」
・・・理性擁護の行動そのものがもし万一にも性急で持久性を欠くならば、そのような行動の方式は、理性の本質にとって適切でないというリアリティーによって、われわれは思いしらされなければならないでしょう。 幾千の若い僚友よ わたくしは、こんに・・・ 宮本百合子 「若き僚友に」
・・・の青少年と女性の勤労を戦時的に利用する計画というものは、既に十数年前から着手されていた。大河内正敏は、今日戦争犯罪者として監禁されているが、彼が計画した「農村の工業化」の方式というものは、世界に類のない方法であった。最近まで日本の農村は知ら・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫