むかしのひと【昔の人】
1 「昔人 (むかしびと) 」に同じ。「—ものし給はましかば」〈源・橋姫〉 2 昔、なれ親しんだ人。「五月まつ花橘の香をかげば—の袖の香ぞする」〈古今・夏〉
むかしのよ【昔の世】
1 過去の世。往昔。「おぼろげの—のあたならぬ人は」〈源・若菜上〉 2 生まれる以前の世。前世。「—ゆかしげなり」〈源・紅葉賀〉
むかしばなし【昔話/昔噺】
1 以前の出来事・経験などについての話。むかしがたり。むかしものがたり。「今ではすっかり—になった」 2 民俗学で、口承文芸の一。子供に語って聞かせるたぐいの、空想的な世界を内容とする話。ふつう、「むかしむかし、ある所に」などの句で始まる。「桃太郎」「舌切り雀」「かちかち山」など。
むかしびと【昔人】
1 昔の人。古人。「—は、かくいちはやきみやびをなむしける」〈伊勢・一〉 2 死んでしまった人。故人。「ほのかに聞こえ給ふ声ぞ、—にいとよくおぼえて」〈源・玉鬘〉 3 年をとった人。老人。また、昔かたぎの人。「つれあひ五左衛門殿はにべもない—」〈浄・天の網島〉
むかしふう【昔風】
[名・形動]昔を思わせるようす。また、古い様式。また、そのさま。古風。昔流。「—な(の)着物」
むかしべ【昔方】
「むかしえ」に同じ。
むかしむかし【昔昔】
「昔」を強めていう語。昔話の出だしにも用いられる。「—の大昔」「—ある所に」
むかしもの【昔物】
昔、作ったもの。だいぶ以前に流行したもの。「矢張—だから柄合 (がらあい) が今と違って締められまいよ」〈魯庵・社会百面相〉
むかしもの【昔者】
老人。また、昔かたぎの人。「今の若い者がわたしたちのような—の気ではだめです」〈藤村・家〉
むかしものがたり【昔物語】
1 昔から伝わる物語。「継母の腹きたなき—も多かるを」〈源・蛍〉 2 「昔話 (むかしばなし) 1」に同じ。「この—は尽きすべくなむあらぬ」〈源・橋姫〉