・・・ 徳永直が十一月号の『改造』に文芸時評を書いている中に、作家としていろいろの批評に対するがんばりのことがある。林が「作家はガンコでなければならぬ」といったのを、当時「阿蘇山」を中絶し「ファッショ」を中絶した徳永が、基本的線に沿おうと・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・佐藤春夫氏は『文芸春秋』の社会時評に「諸共に禽獣よりも悲し」といい、ジャーナリズムが社会的効果に対して無責任であることを指摘しているが、もし現在のジャーナリズムにそのような弱いところがなかったならば同氏によって『文芸』に推薦されたと仄聞する・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・ 六月の『中央公論』に長谷川如是閑が文芸時評を書いている。プロレタリア文学についての意見の中で、取材、形式の固定化をあげている。そして、「プロレタリア作家生活がすすむにつれ、その芸術的空想の局限が見えて来るようだ」から、いわゆる政治小説・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・その中でいけないのがあるとか「時評」にわるいところがあるとか、つまり毎号意地悪く発禁攻めにしても大衆の伸びる力はおそろしい。次第次第に育って来る『働く婦人』をつぶす口実を、編輯長である私の答弁の中からひっぱり出そうとするわけです。 いく・・・ 宮本百合子 「ますます確りやりましょう」
出典:青空文庫