・・・その時になって文化ははじめて真に更新されるのだ。両階級の私生児がいちはやく真の第四階級によって倒されるためには、すなわち真の無階級の世界が闢かれるためには、私生児の数および実質が支配階級という親を倒すに必要なだけを限度としなければならない。・・・ 有島武郎 「片信」
・・・ かくのごとくにして、人生は、常にロマンチシズムによって、更新される。また、芸術形式単純化は、即ち、資本主義的文化、強権主義的文化に対する、唯一つ反逆なのだ。 小川未明 「単純化は唯一の武器だ」
・・・ 多くの作家が、これまでの歴史性による社会感覚の欠如から、今日における自分の発展と創造力更新のモメントを逃がしているように、日本の人民は、智慧と判断を否定し、声をおさえる政策のために、明日死ぬかもしれないその夜の家信でさえ、無事奉公して・・・ 宮本百合子 「歌声よ、おこれ」
・・・ スペインが流血の苦難を通じて世界文化・文学の領域の中に新しい自身の価値を創造しつつ、同時にヨーロッパの文化的良心の沸騰する発露、更新力となりつつあることを疑うものは今日いないのである。『文芸』の「現在中国文学界鳥瞰図」「抗日作・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・ 太古の祖先等は、出生と死――発生と更新の律動を大きな宇宙の波動と感じて生活していたに違いありません。今の私共のように外面的にこせこせと、一年二年など、数えあげていたのではないでしょう。生れ出た人間は、太陽を浴び、雨に濡れ、朝に働き夜に・・・ 宮本百合子 「われを省みる」
・・・そうしてこの感激が彼らの生活全体を更新しないではやまない力となったに相違ない。これは私の推測である。しかしこの推測なくしては私は古代の芸術をも文化をも解することができない。 もとより私は当時の人々のすべてがこうであったというのではな・・・ 和辻哲郎 「偶像崇拝の心理」
出典:青空文庫