・・・これは随分当って、新聞は飛ぶように売れ、有料広告主もだんだん増えた。 もっとも、こう言ったからとて、べつだん恩に着せようというのではない。それに、もともとこの船場新聞ではお前もたいして得るところはなかった。それのみか、某事件の摘発、攻撃・・・ 織田作之助 「勧善懲悪」
・・・若し有料診療を受けなけりゃならない場合は半額だ。おまけに、ソヴェトでは家賃というものが、月給に応じた割合で払えばいいことになっているんだからな。 ――そうかい! そりゃききものだ。どの産業の労働者も、家賃なんか、そういうやりかたで払って・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ 親の給料の額によって、有料、無料。とり扱いは全く同一だ。五六十人から五六百人までの男の子、女の子、プロレタリアート闘士の交代者たちが、景色のいい林の間、森や野の中で、これも一ヵ月、勉強し、遊び、働いて来るのだ。 だから実に晴れ晴れ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の夏休み」
・・・これまでソヴェトの小学校は無料のところもあったが有料のところもあった。それも、今度五ヵ年計画によって、すっかり国庫負担で全ソヴェト学齢児童就学ということになった。 ミーチャはまだ小さい。こないだ幼稚園で先生のリーダ・ボルトニコが大きくな・・・ 宮本百合子 「楽しいソヴェトの子供」
・・・「当院が今日の如く隆盛におもむいた以上さらに有料寝台を増して、その利益配当を最初犠牲的社会奉仕をしたX嬢その他出資者に分つのが最も合理的な感謝手段であると思惟す」と。 もっとも決議に出資者らが何と答えたかは出ていない。出資婦人達はオスワ・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫