・・・こう云えば勿論縁談の橋渡しには、その骨董屋のなったと云う事も、すぐに御推察が参るでしょう。それがまた幸いと、即座に話がまとまって、表向きの仲人を拵えるが早いか、その秋の中に婚礼も滞りなくすんでしまったのです。ですから夫婦仲の好かった事は、元・・・ 芥川竜之介 「開化の良人」
・・・ フォイエルバッハはヘーゲルからエンゲルスの橋渡しとして、ヘーゲルの弁証法を唯物弁証法に媒介した意味で科学的社会主義の先駆ともいえる。 彼によれば「人間相互の共同」が真理の普遍性の最初の原理である。認識において自己以外の他の物体の存・・・ 倉田百三 「学生と教養」
・・・もし素量説が勝利を占めて旧物理学との間の橋渡しができればどうであろうか。おそらくそのために従来の物理学がことごとくだめになるような事はあるまいが、従来用いられた諸概念に少なからぬ変動が来るであろうと予想するのは至当であるまいか。 少なく・・・ 寺田寅彦 「物理学と感覚」
・・・井上正夫を浅草に出演せしむる橋渡しをする。同一座の作者となったが、二月目に意見の衝突をして飛び出し、その暮、秋月、川上、喜多村一座の作者となり、舞台監督をやる。 一九一六年。幕内の生活に堪えられず、これも三月目に逃げ出す。しみじみ自分の・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
出典:青空文庫