・・・「歌声よ おこれ」から「一九四六年の文壇」「政治と作家の現実」「バルザックに対する評価」「バルザックについてのノート」などは一九四七年八月に出版された文学評論集『歌声よ おこれ』にあつめられていたものである。「一九四七年の文壇」「両輪」「世・・・ 宮本百合子 「はしがき(『文芸評論集』)」
・・・ 過去十二年の間わずか三年九ヵ月ばかりしか作品発表の自由をもたなかった宮本百合子は、一九四五年十一月頃から「歌声よ、おこれ」などの民主主義文学についての文学評論のほか、「播州平野」「風知草」などにこの作家にとって独特であった解放のよろこ・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
前号の『文化タイムズ』に、わたしの評論集『歌声よ、おこれ』について本多秋五氏の書評がのせられた。その書評で、私が日本にプロレタリア文学は実質上存在しなかった、と書いているということがいわれている。「プロレタリア文学なるもの・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学の存在」
・・・始めの声はゆるやかにそしてひくく、次第に月の光の銀色になるにつれて歌声もだんだんたかくそうしてすんで行きます。詩人はその形のいい頭を女の白いやわらかい胸によせて目をねむってその歌をききとれました、ほんとうに美くしい声です。胸のかるい鼓動の音・・・ 宮本百合子 「無題(一)」
・・・旗はひるがえり、歌声は湧き、まるい地球は本当にきょうのメーデーにこそ、世界は働く人の花の輪でつながれるのです。 皆さんのお宅には、必ず幾人か、つとめに出ている方があるでしょう。その方々は、けさふだんといくらかちがった仕度で家を出かけてい・・・ 宮本百合子 「メーデーと婦人の生活」
・・・大手町の方を眺めると、歌声のとどろきと旗の波が刻々増大し、つきぬ流れは日本橋へ向っている。女のひとも、どっさり今日は行進している。目を据えてみていると、歌いながら、笑いながら、行進の中から、合図の手を振るひとたちがある。我を忘れて声をあげ、・・・ 宮本百合子 「メーデーに歌う」
・・・ そして、これらの季節の思い出のどの一節にも、遠くにか近くにか手風琴と歌声とが響いていて、そこには微かにロシヤの民謡につきものの威勢のいい鋭いかけ声もきこえているのである。 宮本百合子 「モスクワ」
出典:青空文庫