・・・も、熱心にギリシア、ローマ等の古典文学を跋渉し、章句を引用し、彼以前には、全く空白に等しかった先史の分野に、一夫一婦制以前の社会が単に無規律性交の行われていた原始状態であったのではなくて、その「血統が母系において――母権によって」辿られたこ・・・ 宮本百合子 「先駆的な古典として」
・・・ ひき続いて母系の時代が現れたことは周知のとおりである。続いて人類社会の生産の様式が発達し、奴隷が出現し、財産というものが社会に存在するようになるにつれて、そのふやし手であり護り手である男の父系制度が確立してきた。最近までの日本のよ・・・ 宮本百合子 「人間の結婚」
・・・この時代は母系の制度が行われていた。一つの氏族内の母方の子供は、先任の酋長が男であろうと女であろうと選挙されればその地位を継承する権利を持っていた。このことは、もうその頃から女の力が、産業と毎日を生きてゆく家事との上で、どれ程大切な役目を持・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫