・・・現場の労働者によってかかれたらしいこの記録が、もっと各現場組合の文学的能力を生かしていたら、どんなに浸透的で永続する読後感を一般の読者に印象づけることができただろうかと、残念に思った。強い組合から新しい作家がより多くでる傾向があるといわれて・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・これだけの人民の意志が、永続的な平和と民族の自立・民主生活の安定をもとめているということは、わたしたち日本の婦人にとって何ごとをも意味しない事実だろうか。それほど、わたしたちは、食べ飽き、幸福にみちたり、どんな悲歎からも遠い存在であるだろう・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・ 人間の男女は、自然のままの表現としてはこんな発端で、愛情の永続を希う意志表示をして来た。そのような未開社会の男女の結合の間で、貞操などという言葉は思いつきもされなかった。同じくらいの好きさなら、同じぐらいいやでないならば、相手の男・・・ 宮本百合子 「貞操について」
・・・だからこそ世界の良心的な科学者たちが、ジョリオ・キューリーをはじめとして自身の能力の所産である原子兵器使用禁止を、このようにも誠意と永続性とで要求している。 一月一日朝日新聞の第一面に「バンチ湯川両博士対談」がのった。「人類互に理解と尊・・・ 宮本百合子 「「人間関係方面の成果」」
・・・だからこそ八千一万の婦人が五十数ヵ国から集って民主婦人連盟を組織し、世界の永続的な平和のために努力しはじめているし、世界の労働組合総連合ができて、平和の確保に努力している。これは理の当然だと思われる。なぜなら、戦争は全くある国の人民と人民と・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・が、ほんとに質のよい、永続的なプロレタリアートの運動は、一つのストライキ、一つの農民闘争の底に沈められている。その本体を把握し、ブルジョア官憲によって切りこまざかれる運動を全線の展望から理解し、しかも芸術品としてまとめることは、異常にむずか・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・「アクチュアルなものから永続的なものへの憧憬」であるとして、マルクスの「経済学批判序説」にある文句が引用されているのである。 読者の全部が「経済学批判」を読んでいるとは思われず、私も亦マルクス学者でないから知らないが、引用している文章―・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・ 二十世紀の現代においては、理性がいかに永続的に、且つ現実的に操作されうるかという能力にこそ、歴史の勝敗がかかっている。理性擁護の行動そのものがもし万一にも性急で持久性を欠くならば、そのような行動の方式は、理性の本質にとって適切でな・・・ 宮本百合子 「若き僚友に」
・・・けれども、根深い婦人の文化運動として永続することは不可能であった。青鞜社の人々の多くは、文化がどのような関係で経済的な社会上の基礎の上に発生するものであるかを知らなかった。経済的に自立する丈の能力を持たず、さりとて、社会的な勤労に従事したこ・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫