・・・「何だ失敬な、決闘をしろ、決闘を。」 わたくしも思わず立ってファゼーロをうしろにかばいました。「馬鹿を云え、貴さまがさきに悪口を言って置いて。こんな子供に決闘だなんてことがあるもんか。おれが相手になってやろう。」「へん、貴さ・・・ 宮沢賢治 「ポラーノの広場」
・・・じめてクリスチナの身分がわかり、結婚をする気でいた野心家の貴族との張り合い、その他所謂映画らしい、いきさつがあって、クリスチナが到頭退位してそのスペインの男が帰国する船へかけつけると、当の対手は敵役に決闘をしかけられ既に瀕死。クリスチナに介・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・と百分の五の「決闘」をもっていることをあげているのが宇野氏ただ一人であるというような、些細のようで案外文学の実質の鑑別力としては意味のふかい例となっても現れて来るのである。 四 広津和郎氏の「巷の歴史」宇野・・・ 宮本百合子 「今日の文学の諸相」
・・・二人の大作家が十五年間も意志の疏通を欠いたばかりか、或る時は本気で決闘までしかねまじい程激昂したには種々の原因があったに違いない。が、対立の原因となる多くの見解の相違中のただ一つ、恋愛や婦人に対する二人の考えかたの違いだけを見ても、私は十分・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・六週間仲よくつき合ったp.95○連隊長マレールのリュシアンに対する悪感情○決闘して負傷したリュシアン 兵士のメニュエルに介抱される メニュエルとリュシアンの感情p.114 ナンシイの名医王党派デュ・ポワリエ氏○の・・・ 宮本百合子 「「緑の騎士」ノート」
・・・ 『愛情の夫婦生活はそう長くつづくものではない、今さめたんだよ、これからは二人の間の忍耐力をためされる時が来たのだ、こらえろよ、ナ、こらえろよ』決闘ん中にあるじゃありませんか、斯う―― 私はこんな事を思う様に、又人から云われる様にはどう・・・ 宮本百合子 「芽生」
出典:青空文庫