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・・・二人の農夫は次から次とせわしく落ちて来る芯を集めて、小屋のうしろの汽缶室に運びました。 ほこりはいっぱいに立ち、午ちかくの日光は四つの窓から四本の青い棒になって小屋の中に落ちました。赤シャツの農夫はすっかり塵にまみれ、しきりに汗をふきま・・・
宮沢賢治
「耕耘部の時計」
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・・・ 汽車がごうとやってきました。汽缶車の石炭はまっ赤に燃えて、そのまえで火夫は足をふんばって、まっ黒に立っていました。 ところが客車の窓がみんなまっくらでした。するとじいさんがいきなり、「おや、電燈が消えてるな。こいつはしまった。・・・
宮沢賢治
「月夜のでんしんばしら」