・・・不幸、病気、泣きごと、流血、殴打、ひどい言葉の愚弄、それらはどれもゴーリキイに堪え難く、肉体的な苦痛を引起すのであった。だが、彼の生きる暗い環境の中ではその苦しさが常に極度にまで緊張させられるようなことが頻々として起った。苦痛が嵩じて「一種・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・〔伏字二十八字〕ロシア民衆の生活がいかなるジグザグの道をとおり、流血と犠牲をもって十月革命の大道へ辿りつき、更にその道を前へ前へと進んでいるかということを、その多様さ、複雑さ、矛盾のままの姿で描いた作家は、ゴーリキイなのである。 一九三・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・の培養がどんな流血と犠牲と破壊とをよびおこすものであるかということについては、第二次世界大戦で、タンノウするまで学びつくしているのである。ジュール・ロマンの『ヨーロッパの七つの謎』一冊よめば、それはわかりすぎるほどよくわかる。 自由党そ・・・ 宮本百合子 「矛盾とその害毒」
・・・萬縣での流血の闘争など、もっと色彩づよく描写され、同時に揚子江の壮大な自然や白人の日常生活の姿などが遠近をもって描き出されたら、この作品は一層面白く、芸術的な香気をもたかめたことであろうと思われる。作者は、取扱おうとしている現実にはよく通じ・・・ 宮本百合子 「「揚子江」」
出典:青空文庫