・・・ ここまで書いて後にウーファ社の教育映画で海の浮遊生物を写したものを見た。顕微鏡で見る場合では、眼前の顕微鏡と、その鏡下のプレパラートとの相対的の大きさがちゃんと意識されているのであるが、それがスクリーンの上に大きく写されたのでは全くそ・・・ 寺田寅彦 「映画時代」
・・・たとえば透明な浮遊生物の映画などでも、考えよう一つであの生物のあるものが人間ほどの大きさをもったダンサーの化け物のように思われて来る。そうするとその運動は非常に軽快に見え、そうして今にもわれわれに食ってかかりそうな無気味さを感じる。しかし顕・・・ 寺田寅彦 「映画の世界像」
・・・次には海水自身を区別してその塩分の多少、混濁物や浮遊生物の多少などによっての差を考えねばならない。また海面の静平であるか波立っているかによって如何なる相違があるかという事も考えねばなるまい。これだけの区別をしてもまだ問題は曖昧である。光線が・・・ 寺田寅彦 「物理学の応用について」
出典:青空文庫