・・・ 下級海員たちは、何か、背中の方に居るように感じた。又、彼等は一様に、何かに性急に追いまくられてるように感じた。 彼等は、純粋な憐みと、純粋な憤りとの、混合酒に酔っ払った。 ――俺たちも―― 此考えを、彼等は頑固な靴や、下駄・・・ 葉山嘉樹 「労働者の居ない船」
・・・そして、バルチック海軍兵士の革命的組織に関係し、のち亡命して長くイギリスで海員生活をした。彼は殆どこれまで唯一のソヴェト海洋作家である。婦人の作家――もとは小学校の女教師で党員作家であるアンナ・カラヴァーエヴァも出かけた。 彼等は、赤軍・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
細かい部分部分の記述については、もう一息と思われる所もないではないが、全体として見れば着実に、誠意をもって具体的に書かれ、心持よい印象を与えられた。 これまでの文学で、下級海員の生活を描いたものは、階級的な立場からあつ・・・ 宮本百合子 「「第三新生丸」後日譚について」
出典:青空文庫