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・・・ お光さんの夫なる人は聞いたよりも好人物で、予ら親子の浜ずまいは真に愉快である。海気をふくんで何となし肌当たりのよい風がおのずと気分をのびのびさせる。毎夕の対酌に河村君は予に語った。妻に子がなければ妻のやつは心細がって気もみをする、親類・・・
伊藤左千夫
「紅黄録」
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・・・という水禽のみ、黒み行く浪の上に暮れ残りて白く見ゆるに、都鳥も忍ばしく、父母すみたもう方、ふりすてて来し方もさすがに思わざるにはあらず。海気は衣を撲って眠り美ならず、夢魂半夜誰が家をか遶りき。 二十七日正午、舟岩内を発し、午後五時寿都と・・・
幸田露伴
「突貫紀行」