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・・・ち春の暮月に対す君に投網の水煙掛香や唖の娘の人となり鮓を圧す石上に詩を題すべく夏山や京尽し飛ぶ鷺一つ浅川の西し東す若葉かな麓なる我蕎麦存す野分かな蘭夕狐のくれし奇楠をん漁家寒し酒に頭の雪を焼く頭巾二つ一つ・・・
正岡子規
「俳人蕪村」
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・・・私は残念ながら、詳しく漁家の経済のくみたてられかたを知らないのだが、はたで見ていても地引が空なときの寂しさは、何とも云えない。漁家の収入と云えば、不規則なものときまっているらしいが、現在では一般にどんな改良が加えられているのだろうか。 ・・・
宮本百合子
「漁村の婦人の生活」