・・・ 構築と激情○Dの熱情が常に作品の中に一への原始的混沌をもたらしている。決して調和に達していない。p.232○生活力の総額の数秒時における痙攣 p.241○彼の作品における 時間と空間との克服の能力は、認・・・ 宮本百合子 「ツワイク「三人の巨匠」」
・・・それらの作品には、彼女の生活環境と彼女自身のうちにある根深い封建的なものが、反抗と解放への激情と絡みあって、生のまま烈しく噴出している。暗く、重く、うごめく姿があるけれども、そこには、「人間は断じて自滅すべきものではない」という彼女の人民的・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
・・・に応え、思い知れと云う風をされると、自分は失望や悲しみで、猛然と掴みかかりたい激情を覚えるのだ。 若し自分が行くのが不愉快なら、何故フランクに行くな、と云って呉れないのか、 行かせたなら、どうして、もう少し寛大に、自分の娯んで来たこ・・・ 宮本百合子 「二つの家を繋ぐ回想」
・・・ 島木健作氏の諸作を読んで、私は非常に多くのことを感じ、そのある作からはほとんど苦しいほどの激情を喚び醒まされたのである。その感銘から引出された重大なある疑問についてはここにふれず、「風雲」との連関で思い浮ぶただ一つは、島木氏のように新・・・ 宮本百合子 「文学における古いもの・新しいもの」
・・・しかも、その望みの内容というか動機というか、スプリングとなっているものは、嘗てロマンチシズム時代の青年が、新しき世ひらけたり、という風な激情を身内に覚えて芸術を求めてゆくのではなく、勤め先、家庭、この社会での自身の一般的境遇に何か云わずにい・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
・・・ピエトロはマリアに魅せられ、マリアもつよく彼にひきつけられて、この一八七六年の日記は、寸刻もじっとしていない若々しい激情の波瀾と、まじめさとコケトリイとの鮮やかな明暗が一頁ごとに動いている。ロオマの謝肉祭のときの色彩づよい記録。こまやかに書・・・ 宮本百合子 「マリア・バシュキルツェフの日記」
・・・そして、日夜広々とした全世界の脈動に貫かれて生活を向上させ、新しい日本の創設のために努力するようにと、そのアナウンサアの表現は、率直で殆ど激情的でさえあった。いかにも、明暮その仕事に携っている人が、専門家として蒙っていた云うに云えない永年の・・・ 宮本百合子 「みのりを豊かに」
・・・神経質な、激情的で心も体も虚弱な三十八歳の男が、自分のような、生活慾の強い、どの点からも容赦のない女と一緒に暮すのがやり切れず、病的になり、自分を殺して仕舞った。不幸なぞっとする事実だ。私は、自分と云うものさえ局外から観察し、悲しむべき人間・・・ 宮本百合子 「文字のある紙片」
出典:青空文庫