『近代文学』十月特輯号に平野謙氏の「労働者作家の問題」という講演筆記がのせられている。 その話の中で宮本百合子について多くの言葉が費されている。けれども、わたしへのそのふれかたの中には、わたしが迷惑し、聴衆や読者の判断が・・・ 宮本百合子 「孫悟空の雲」
・・・ 日本プロレタリア文化連盟に結集する各文化団体は、それぞれの機関誌を特輯号とし、あるいは号外を刊行して、同志小林の英雄的殉難を記念し、虐殺に抗議し、労農葬に向って大衆を召集しつつその復讐を誓った。 野獣の如き軍事的警察的テロルの虐殺・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・〔『大衆の友』号外〕小林多喜二特輯号を編輯した。十二月〔二十六〕日。宮本顕治は九段上でスパイのため売り渡され、検挙された。スパイは当時日本共産党東京地方に活動していた渾名亀こと高橋であった。一九三三年は文学的には殆ど活動不可・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・のせる風潮だが、その内容は軍事美談や隣組物語のほかは大体やっぱり毛糸編物、つくろいもの、家庭療治の紹介などで、たとえば十一月の婦女界が、表紙に工場の遠景と婦人労働者の肖像をつけていて内容はというと編物特輯をやっている。それは、雑誌を眺めるも・・・ 宮本百合子 「働く婦人」
・・・すべての雑誌の表紙は刺戟的なグラビア版で赤や黒のフラッシュのついた文字で彩られているようなのであるけれども、そうかといって単純にキングと文芸春秋とは全く等しい傾向をもって、戦時特輯をしているかと云えば、そうでないことは自明である。 ここ・・・ 宮本百合子 「微妙な人間的交錯」
・・・今日古い雑誌を見ますと、当時の婦人作家を集めて『文芸倶楽部』が特輯号を出していますが、そのお礼には何を上げたかというと、簪一本とか、半襟一掛とか帯留一本とかいうお礼の仕方をしています。そんな風に婦人の文学的活動は生活を立てて行く社会的な問題・・・ 宮本百合子 「婦人の創造力」
出典:青空文庫