・・・「病室の独裁者」とかいう小題が付せられている章も、ゲ・ペ・ウに呼びつけられた時の描写や何かと混っているのである。 編輯後記には、ソ連に数年滞在した若き作家と紹介されている。筆の立つ人であるらしく、数年前或る役所からこの人の名で独特なパン・・・ 宮本百合子 「近頃の話題」
・・・とソヴェト権力の確立、プロレタリア独裁とが初めて、この屈辱的な民族的差別を根本から廃絶した。民族は完全に独立した。自治共和国をもつようになった。今日では自由に自分の国の言葉で読み書きは勿論演劇もやる。学校教育もやる。出版される。「労働宮」の・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・然し、プロレタリア独裁のソヴェトに於ける革命をもろとも経験した文学団体の間でも、最近五ヵ年計画による社会主義的再建設に際して、レーニズムのイディオロギーを薄弱に把持する「同伴者」の団体は指導勢力をより純正な革命作家連盟にゆずった。「同伴者」・・・ 宮本百合子 「ニッポン三週間」
・・・プロレタリア階級の独裁とはおのずから異ったその民族にとっての現実的な方法で、中国四億の人民生活――人間関係方面は変化した。ヴェトナムでも、人間関係方面は刻々に変化しつつあり、朝鮮における人間関係方面は、こんにち世界の注視をあつめた変動のもと・・・ 宮本百合子 「「人間関係方面の成果」」
・・・前年十月に成立した東條英機内閣はこの時期、彼等にとってもっとも甘美なファシスト独裁の夢をみていた。一九四三年健康状態如何にかかわらず私の作品は発表禁止であった。経済的に困窮した。宮本顕治が一九四〇年に結核のために重態・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・一層我々に納得されにくい独裁専制政治と宗教についての暴圧的政治論等々、読者は決してすらりとこの一篇の小説を読み終せることは許されない。種々の抵抗にぶつかり、小道へまで引きまわされ、脂のきつい文章の放散する匂いに揉まれ、而もそれらのごたごたし・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・しかし、ファシズムは、主観的な、独裁の立場から、そういう風に本当の民族の宝を歴史の段階に応じて掘り出して、それを今日に生かすという角度から自分達の民族の歴史を見る能力をもっていませんでした。世界に対して自分だけが号令をかけようとしたばかりか・・・ 宮本百合子 「婦人の創造力」
・・・プロレタリア・農民・一般勤労階級を資本主義第三期帝国主義の矛盾によって最悪化す世界的搾取から徹底的に解放するものはプロレタリア革命によるソヴェト権力の樹立、プロレタリア独裁あるのみである。歴史的発展のこの唯一にして自明な闘争を勝利的に闘うた・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・つまり、親分=大幹部が、絶対独裁である。あますところなく自己批判し、過去の誤りを清算し、新しく正しい階級的立場に立って、芸術活動をつづけて行くためには、どうしたって、団体内の容赦ない互の討論、決議で前進して行くしかない。しかも、「文戦」の内・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・ 特に一九三一年の後半期は、ブルジョア独裁がブルジョア文化の全機能をひきいてはっきりとファッショ化した点で、日本の歴史的モメントであった。 支配階級とともに急速にファッショ化したのは、大衆作家直木三十五や三上於菟吉ばかりではない。川・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
出典:青空文庫