・・・「世界のプロレタリア文学運動は、世界のブルジョア文化とその文学の創造能力の矛盾と限界とを見出して、人類史の発展的モメントとして現世紀に登場している勤労階級の生新な創造性を自覚したところに生れたのであった」といっているとおり。 今日課・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学の存在」
・・・ そういう文壇というものが、作家生活と文学を生新にする力を欠いていることを疑うものは最早一人もないであろうと思う。作家よ、そして、作家たらんとする人々よ、文壇を蹴って、颯爽と大衆の海へ抜手を切れ、と呼ぶことは、おのずからそこに風の吹きわ・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
・・・だがルポルタージュは、文学に生新な局面を開花せしめることは出来なかった。この間の消息が、今日の文学の帯びている複雑な相貌なのではなかろうか。 よかれあしかれ、望むと望まないにかかわらず現実は動いている。常に苦痛と希望とを綯いまぜて、人間・・・ 宮本百合子 「文学の流れ」
・・・それにもかかわらず、一人の女として人生に向ってゆく気魄の点では何一つ生新なものを示していない。かえって年をとっている男の作家の方が現実生活の中へ何か人間として前時代よりも前進したものを求める態度である。教育や目下働いている務め先の知的な性質・・・ 宮本百合子 「山の彼方は」
・・・ 古典の活きた再評価のためにはこの本のほかに、今続刊されている『日本古典読本』なども、今日における国文学の味いかた、理解しかたの点で或る生新な努力が試みられていると思う。 宮本百合子 「若い世代のための日本古典研究」
出典:青空文庫