・・・にぎりずしの盛合せ。海老サラダ。イチゴミルク。 その上、キントンを所望とは。まさか女は誰でも、こんなに食うまい。いや、それとも?行進 キヌ子のアパートは、世田谷方面にあって、朝はれいの、かつぎの商売に出るので、午後二時・・・ 太宰治 「グッド・バイ」
・・・ 筋の通った劇よりも、筋はなくて刺戟と衝動を盛り合わせたレビューの流行る現代に、同じような傾向が色々の他の方面にも見られるのは当然のことかもしれない。それについて先ず何よりも先に思い当るのは現代の教育のプログラムである。 習字と漢籍・・・ 寺田寅彦 「マーカス・ショーとレビュー式教育」
・・・ この手紙はいろいろ盛り合わせになりました。 お体の様子は又くわしくお知らせ下さい。 附録、 千葉県の保田に一ヵ年契約で月六円の家があり、いねちゃんの子供らのために共同でかりました。学校の休のうちに子供らは出かけます。私は毎日大・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・その上、まだ色彩の足りないのを恐れるかのように、食卓の一つ一つに、躑躅、矢車草、金蓮花など、一緒くたに盛り合わせたのが置いてある。年寄の、皺だらけで小さい給仕が、出て来た。空腹ではあったし、料理は決して不味くはなかった。けれども、何といおう・・・ 宮本百合子 「長崎の印象」
・・・ しぶい色、縞は、昔の日本の室内で近い目の前で見られるにふさわしいのだが、今日の東京の建築物では室内のスケールも変って来ていてその質量感にふさわしいようにという関心が、様々な色のこみすぎた盛り合わせとして現れて、却って色彩的でなくなって・・・ 宮本百合子 「働くために」
・・・目先の分別では、今日彼の属するゴジ政党は、その社会主義との盛り合わせで、多数党の一つとなれそうに見えている。代議士になり、政権をとるためには、多数が好都合だから、本当は、民主日本の進路を妨げる反動勢力と知りつつ、それに属し、ゴジ論を流布して・・・ 宮本百合子 「矛盾とその害毒」
出典:青空文庫