・・・ 結語 科学と文学という題のもとに考察さるべき項目はなお多数であろうが、まずこのへんで擱筆して余は他の機会に譲ることとする。 緒論で断わってあるとおり、以上の所説は、特殊な歴史と環境とをもった一私人の一私見に過ぎない・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・先生は新刊第三巻の冒頭にある緒論をとくに思慮ある日本人に見てもらいたいといわれる。先生から同書の寄贈を受ける日それを一読して満足な批評を書き得るならば、そうして先生の著書を天下に紹介する事が出来得るならば余の幸である。先生の意は、学位を辞退・・・ 夏目漱石 「博士問題とマードック先生と余」
・・・従って先生の読んでくれといった新刊の緒論は、第三巻にあるのではなくて、やはり第一巻の第一篇の事だと知れた。それで先ず寄贈された大冊子の冒頭にある緒言だけを取り敢ず通覧した。 維新の革命と同時に生れた余から見ると、明治の歴史は即ち余の歴史・・・ 夏目漱石 「マードック先生の『日本歴史』」
出典:青空文庫