・・・「女に対して彼は、私の見るところ妥協し難い敵意を持ち、それを罰することが好きである。」という印象をゴーリキイは受けた。トルストイの当時の心持の中には、夫人との軋轢が一つの鋭いとげとなっていたかも知れない。しかしゴーリキイは非常に公平に一人の・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイによって描かれた婦人」
・・・トルストイはゴーリキイとの会話の間でも、もっとも多く神と百姓と女について話すのであったが、彼は女について妥協しがたい敵意をもち、女を罰することをよろこんだ。ゴーリキイは、女をいかなる醜悪な場面、条件においても理解すべきもの、哀れむべきもの、・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・ 企業家のサボタージュを罰することも、是正する力も失っているのに、労働運動取締りの四相声明を公表した当局は、「各種民需産業を振興」というが、どんな成算をもっているのだろうか。元大審院部長・元司法次官三宅正太郎という人が、中央労働委員会の・・・ 宮本百合子 「モラトリアム質疑」
・・・つまらない芽を大きくするためにいい芽がたくさん閑却されても、それを不当だとして罰する力はないのです。 実を言えばそのテエマは、おのおの独特な形で、あらゆる人間の内にひそんでいるのであります。そうしてそれがハッキリと現われて来れば、雑然と・・・ 和辻哲郎 「すべての芽を培え」
出典:青空文庫