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・・・一度五月の節句に、催しの仮装の時、水髪の芸子島田に、青い新藁で、五尺の菖蒲の裳を曳いた姿を見たものがある、と聞く。……貴殿はいい月日の下に生れたな、と言わねばならぬように思う。あるいは一度新橋からお酌で出たのが、都合で、梅水にかわったともい・・・
泉鏡花
「燈明之巻」
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・・・「そんな事やないワナ、私達よそのいとはん達から『ほら芸子やまい子や』と云われてばかり居て、――そいであんな遠いところから来たあんたにこなにしたしゅうしてもろうて何やら妙な気がしたさかえ……」まだ十七にもならないで――私はスーッと涙がにじんで・・・
宮本百合子
「ひな勇はん」