・・・襟とか襟飾りとかあるいはズボン下、靴足袋、傘、靴、たいていなものがありました。身体へつけるいっさいの舶来品を売っていたと云っても差支ない。ところが近頃になるとそれが変ってシャツ屋はシャツ屋の専門ができる、傘屋は傘屋、靴屋は靴屋とちゃんと分れ・・・ 夏目漱石 「道楽と職業」
・・・茶色の演壇上の赤い襟飾り、しまって悧口そうな顔、房々したオカッパ。 ――何々区ピオニェール分隊から、世界無産婦人デーへの熱心な挨拶を! 澄んで打つような少女の声だ。続いて全分隊一斉に声を揃えて、 ――世界無産婦人デー、万歳 ・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
・・・白い縫い模様のある襟飾りを着けて、糊で固めた緑色のフワフワした上衣で骨太い体躯を包んでいるから、ちょうど、空に漂う風船へ頭と両手両足をつけたように見える。 これらの仲間の中には繩の一端へ牝牛または犢をつけて牽いてゆくものもある。牛のすぐ・・・ 著:モーパッサン ギ・ド 訳:国木田独歩 「糸くず」
出典:青空文庫