・・・ この映画にもやはりだれでもすぐに気のつく、そうしてだれにでも簡単な言葉で表現されうるようなうまい見せ場はたくさんある。たとえばいちばん始めに映出される屋上の「煙突のある風景」が最後にもう一度現われて、この一巻の「パリのスケッチ」の首尾・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
・・・最後の一、二ページで、作者は、亮子にほとんど過重な内的容積をもり込んでいるのであるが、「近頃どんな映画を見ても演出を見ても『なんだここが見せ場か』『ここが山か』と案外その見せ場や山が大したものでないのにガッカリしている」だが「こんなことは何・・・ 宮本百合子 「十月の文芸時評」
出典:青空文庫