・・・国民消費としてひっくるめていえば、人口には女も入って、女の酒、女の煙草も、これまで内務省や文部省が保健と精神規律の上からそれを眺めていたとは異った角度でながめられようというのであろうか。 銃後の婦人に求められている緊張、活動とその性質と・・・ 宮本百合子 「祭日ならざる日々」
・・・ 閉じこめられたまま清純のまま続いていたジイドの青春は、二十四歳の時、突然その清教徒的規律を破った。彼は在来の周囲に激しい厭悪を感じて友人のロオランとチュニスに旅立った。この船出は、地理上の旅行であるばかりでなく、フランス中産階級の生活・・・ 宮本百合子 「ジイドとそのソヴェト旅行記」
・・・ピオニェール、コムソモール、自覚ある婦人労働者などはいろんな社会的規律の改善にいつも先へ立って活動する。禁酒奨励運動では、女と子供が実によく働いてる。可愛いピオニェールになってる自分の息子や娘達が凜々しく隊伍を組んで雪ん中を「酔っ払い親父を・・・ 宮本百合子 「正月とソヴェト勤労婦人」
・・・ 討論は到頭男の子と女の子と、どっちが規律正しい生活が出来るか、ソヴェト権力はどんなにプロレタリアートの自覚ある規則を必要とするかというところまで進展し、ニーナ対アリョーシャの問題はこう決定する。「ニーナが机の中をいつもひっ散らかし・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
・・・ ――革命の規律! 革命の規律を守れ ――タワーリシチ! 俺たちプロレタリアート・ボルシェヴィキーが盗人でも乞食でもないことを見せてやれ! 赤布を平服の腕へ巻つけた労働者赤衛兵はピストルを片手に、冬宮を引揚げる時全同志の身体検査・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・「われわれの規律は、ただあの非無産階級的な、革命を妨害するものどもを束縛するだけで、それはちょうど游泳術が游泳する人にたいして、ただ彼が溺死しないように束縛するだけであるのと同じ」である、と。 最後に、ジダーノフの報告のうちに、警告とし・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・の功績は、著者バッハオーフェンが自身の神秘的な観念に制約されつつも、熱心にギリシア、ローマ等の古典文学を跋渉し、章句を引用し、彼以前には、全く空白に等しかった先史の分野に、一夫一婦制以前の社会が単に無規律性交の行われていた原始状態であったの・・・ 宮本百合子 「先駆的な古典として」
・・・私のみならずおそらくプロレタリア文学運動を真に守ろうとする大衆諸君は、このような態度を、やはり一つの不規律と見るであろうと思う。何故ならば、われわれの共通な敵は一つであり、それに向って立てられるわれらの戦列は、常に可能な限りの発展的伸縮性に・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・家の中で非常に親しくしている仲であっても、公共の場所では慇懃な態度をとれとか、召使は客人の前では厳密に規律を守らせ、人目のない時にいたわってやれとか、というような公私の区別も、彼にとって算用であった。人を躾けるやり方についても、小さい不正の・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
・・・群集の規律ある動作によって起こる劇的効果。堂内の空気はますます緊張を加えて行く。一瞬間深い沈黙と静止が起こる。突如として鋭い金属の響きが堂内を貫ぬき通るように響く。美しい高い女高音に近い声が、その響きにからみついて緩やかな独唱を始める。やが・・・ 和辻哲郎 「偶像崇拝の心理」
出典:青空文庫