・・・は、内閣が自分の防衛のために議会をベルリンから他の市へ移そうとするのに反対して、市民軍を支持して一つの檄を公表した。檄はマルクスと二人の同志とを叛逆罪として起訴する種に使われた。公判の結果、一同無罪となった。 これはイエニーにとって貴重・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・ 特別議会が終ったが、ここで臨時増税が決定した。新たに増税されるものの種目に、写真機及その附属品、原料というのがある。フィルム、原像液、引延機、みんな其々に税がかかるのであろう。写真機の大衆化は、その生産過程の特殊性から或る方面の支持に・・・ 宮本百合子 「カメラの焦点」
・・・広島の平和都市、長崎の国際都市建設案を、議会満場一致で賛成、感謝したところで、民間人の代表めかしてものをいう人の本心が、こうも荒々しい実際を見れば、して貰うことは何でも感謝の、こじき根性と衷心において侮蔑を感じられてもしかたがあるまい。・・・ 宮本百合子 「鬼畜の言葉」
・・・ 第一次大戦終了の後、漸々新婦人協会が治安警察法第五条の改正を議会に請願し、世界の社会情勢に押されて一九二二年その改正建議案は貴衆両院を通過したが、その三年後には当時の内閣が、婦人公民権に対してさえ不許可を声明したのであった。昭和五年と・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・当時の代議士たちは、議会の白い建物の中で、一人のこらず夢のように巨額な軍事予算に賛成の手をあげて来たのであった。 国民経済は全くうちこわされ、各家庭の経済は、ひどいやりくりももうこれぎりという際まで来た。モラトリアムが、インフレ防止の非・・・ 宮本百合子 「現実の必要」
・・・ 選挙の最後の二週間に、トルーマンは彼を制約しつづけた南部への気がねをふりすて、民主精神に反した第八十議会の失敗を明瞭に指摘しはじめた、と日本の新聞は報じている。所得税の問題、物価問題、人種問題などを漠然ととりあげていたトルーマンは、今・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・ですから、もっと研究して、私たちの本当の代表者を議会に送り、もっとよく、もっと具体的な、実際の効力のある憲法につくりあげなければならないのであります。 私は作家であるのに、政治の話をするのは、なんとなく変だとお思いになるかもしれませ・・・ 宮本百合子 「幸福について」
・・・そのほかわれわれが考えなければならないことは、今の憲法草案には天皇は議会を解散させることができるとなっています。そうすると私共がどんなに良心的によい代議士を選んでも、たったひとりの人が議会を解散するといって、それを書いた紙をもって捧げて読め・・・ 宮本百合子 「幸福の建設」
・・・ 一体役所というものは、随分議会で経費をやかましく言われるが、存外質素に出来ていて、貧乏らしいものである。 号砲に続いて、がらんがらんと銅の鐸を振るを合図に、役人が待ち兼ねた様に、一度に出て来て並ぶ。中にはまかないの飯を食うのもある・・・ 森鴎外 「食堂」
・・・たといそういう政治家が官僚の中から出たとしても、すでに議会が開けた以上は、代議士さえ聖旨にかなうような人であれば、そういう違勅の政治家を駆逐することができたはずである。しかるに同じく聖勅に違背するような不忠な代議士が選出された。明治大帝は「・・・ 和辻哲郎 「蝸牛の角」
出典:青空文庫