・・・印度をはじめとするアジアの諸国は、そのゆたかな天然の資源と、生産の発達が遅れている半封建的社会の条件を利用されて、ヨーロッパの資本主義の植民地または半植民地として、土着の民族のいたましい生活がつづきました。 第二次世界大戦ののち、アジア・・・ 宮本百合子 「新しいアジアのために」
・・・ 広く知られている通りイタリーのアフリカ植民地政策の活溌さはエチオピア問題を見ても明かであり、リビアは最近急速に戦時軍需資源の獲得地となっている。鉄、ニッケル、ジュラルミン等の原鉱を多量に生産することが分ったそのためにイタリーは附近の土・・・ 宮本百合子 「イタリー芸術に在る一つの問題」
・・・そこで彼女は放射能を持つ物質の資源を調査したのであった。専門の治療者も急速に養成されなければならない。ラジウム研究所でその仕事が始められ、三年の間に百五十人の治療看護婦が生れた。 この時二人の娘たちはもうパリに帰っている。十七歳のイレー・・・ 宮本百合子 「キュリー夫人」
・・・ 今日の地球の面では、面白いことにはそのような矛盾を何とかして解決しなければならないという努力がされておりますが、その国の天然資源の豊富さ、土地の大きさ、人口の多さ、今までもっていたその国の社会の歴史のいろいろな必然的な動きから、たとえ・・・ 宮本百合子 「幸福の建設」
・・・今そこは、豊富な天然資源を百パーセント社会主義生産に活用して、世界唯一つの社会主義国家の威力を資本主義に対して確立しようとしているのである。 だから自覚あるソヴェトの勤労者は勿論、十一歳のピオニェールさえ知っている。五ヵ年計画の達成は、・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 現在の世界の文明が到達している技術と資源開発の程度でさえも、地球は今日の全人口の四倍を、それも良好な生活水準で維持することが出来ると、学者は云っているそうだ。それだのに、今日世界の大部分がひどい食料制限をして、私たちはさつまいもを買う・・・ 宮本百合子 「今日の生活と文化の問題」
・・・愛すこと、結婚生活を営みたく思う心、そして父母とならんとする希望は、然しながら、百万長者の子供らだけが親の株で独占することを許されている天然資源ではないのである。 話はすこし飛んで、東京日日新聞でこの頃毎日東京ハイキングという特別読物を・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」
・・・なぜなら、日本の人民八千万人こそ、アジアにおける従順な戦争の人的資源として数えられているのだから。しかし日本の人民自身は、世界に向って戦争放棄を声明した。自分たちがまた再び外からの強権によって、死ぬる場所に追い立てられることは欲していない。・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・ 一九一四年の時代にヨーロッパ各国の資本主義的な経済が、それ以上拡大するためには、これまでよりもっと生産資源と生産品をさばく市場をひろげなければならないという互の利害の衝突から、第一次大戦がおこった。この現実の理由をはっきり理解すること・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・半ば眠り半ばは確乎と覚醒している厖大なアジアの一国、中国で、資本主義以前にありながら、しかも、目下の急速な世界情勢の動きにつれて、豊饒な民族資源が才能さえも含めていきなり最も民主的方法で開発される十分の可能をもっているという事実は、私たちに・・・ 宮本百合子 「春桃」
出典:青空文庫