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・・・ 「縫い音」 関としを 「やもめ倶楽部」 赤城草之介「縫い音」は、ひろく共感を誘う妻のシチュエーションであるけれども、書き出しの女性らしい文章の体質と、すこしあとの方の文章と、どこかちがって来ているのは、どうしてだった・・・
宮本百合子
「『健康会議』創作選評」
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・・・ 去年の、やはり五月、藍子が五日程行っていた赤城の話をしているうちに、尾世川まで段々乗気な顔つきになって来た。「何だかどうも私の尻までむずついて来た。――兎に角両国まででも行って見ようじゃありませんか。日がえりで海見て来るのもわるく・・・
宮本百合子
「帆」