・・・ ××××戦争は、それを、プロレタリアートのブルジョアジーに対する××に転化し得る可能性を多分に持っている。又、プロレタリアートは、それを転化するように努力しなければならない。そこで、吾々文学は、帝国主義××××の意志を強く表現するに止・・・ 黒島伝治 「反戦文学論」
・・・蒸気に転化する可能性を持っている。だから、兵卒に着目したことには意義がある。 花袋は、独歩の如く、将校はいゝんだが、下士以下は不道徳で、女を堕落させるというような見方はしていない。兵卒を一個の生物的な人間として見た。そして、一個の死に直・・・ 黒島伝治 「明治の戦争文学」
・・・KとHは日本語でもしばしば転化するからここではかりに同じと見て、次のような子音分類をする。すなわちととを対立させると子音群数は Q = 7 となる。この場合 N(CC) = 48 であって m = 9であるから R = 7.6 となる。・・・ 寺田寅彦 「火山の名について」
・・・と云うのは田舎言葉から転化して今は一般の通用語となったものである。薗八節の鳥辺山に「ととさんやかかさんのあるはお前も同じこと」という詞がある。されば「とうさん、かアさん」の語は関西地方のものであろうか。近年に至って都下花柳の巷には芸者が茶屋・・・ 永井荷風 「申訳」
・・・で帝国主義日本の革命的勤労大衆の前衛に課せられている任務は、広汎で具体的な帝国主義戦争反対の闘いであり、帝国主義戦争によって生じるあらゆる矛盾のモメントを内国的にはプロレタリア解放のために有利に強力に転化せしめることであり、そのためにプロレ・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・ 労働法が出来たけれども、国鉄従業員が尤もな待遇改善を求めると、当局はそれを拒むことの出来ない代りに、忽ち、運賃値上げをして、人民の負担に転化する。逓信院の値上げにしても同様である。何十万人という従業員は、やっといくらか給料がよくなった・・・ 宮本百合子 「現実の必要」
・・・仕事というのは、あるひとの生活意欲の社会的価値への転化具体化であるのではないでしょうか。人に見せるためではない。人に聞いたり、読んだりして貰う為ではない。本当に私一人の慰みのためにという表現で女のひとが、自分の余技、仕事を語る。特に日本では・・・ 宮本百合子 「現実の道」
・・・ 今日文化のあらゆる面で私たちの願うべきことは、所謂健全な文化と不健全なものと一目でわかる区分をつけるというような単純なところにはなくて、健全さも或る瞬間には不健全なものと転化してゆく、その生きた刹那の機微に対して敏感でなければならない・・・ 宮本百合子 「今日の生活と文化の問題」
・・・わが心に銘じる悲しみが深きにつれて、文学はその悲しみを追求することによって、単なる悲しみから立ち上った人間精神の美を発見し、美を感じ生みだすことによって、個体の経験を社会の富に転化して、そこから成長しきるのである。が、一つの悲しみ、一つのよ・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・一九一七年以来ソヴェトがたえず押し進めてきた人間の立体的な社会生活の方向が、このたびの防衛戦という大刺戟によって、破壊から巨大な建設へと、全人民の経験を転化させる可能を与えた。 一九三〇年頃のヴェラ・インベルは洗煉された一人のソヴェトの・・・ 宮本百合子 「新世界の富」
出典:青空文庫