・・・組織的にいえば、組合の文化部は前年度の経験によって、だんだん文化の過小評価をなくしてきたし、サークルの指導者たちは文学その他の文化的活動がいわゆる「文化的」な勤労者らしくないさまざまの栄養をうけていることについて十分な注意をよびさまされてき・・・ 宮本百合子 「一九四七・八年の文壇」
・・・昔のプロレタリア文学運動にたいする政治的偏向の批判とか、文学における世界観の課題にたいする過小評価、作家論の場合は平野謙の小林多喜二にたいする批評などのようなまったく本質からはずれた形をとります。そして、一貫してプロレタリア文学運動に指導的・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・数万、十数万という広い人々の間に読まれている時、そして一方にはその位の読者は何の苦もなくさらっているエロティックな又は虚無的なブルジョア文学が存在する時、もし民主主義文学運動が自分の陣営の作家の影響を過小評価することがあれば、それは真面目に・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・ このことが一九四六年からのち、一時プロレタリア文学に対する過小評価の論を流行させる原因の一つとなり、その文献的欠陥となっている。当時、日本の前衛組織は非合法におかれ、小さい規模であった。一つの運動に、他の一つの運動の必要が重なって来て・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」
・・・今日の社会の情勢の中で、多くは個人的な事情から文学の仕事をしてゆくにあたって、これらの人々は自分の作家としての活動に、過去の癖から妙な過小評価を持って対している。はっきりした言葉にならぬまでも、文学の仕事を他の政治的な仕事と比べて機械的に下・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・ あなたが、一人の作家の主観として、自身が決してその時評に云われていたような作家の仕事への過小評価、仕事への自覚、誠実、情熱の不足をもって仕事はしておらぬ、そういう表現はうけがえぬ、と云われる場合、私はこういう場処で、広い意味では共通な・・・ 宮本百合子 「不必要な誠実論」
・・・ プロレタリア文学が存在しなかったというどころか、逆に何故プロレタリア文学のほかの進歩的文学が過小評価されなければならなかったかということをさぐりたかったからであった。私の書いているその評論の全主旨はプロレタリア文学の存在否定でない。・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学の存在」
・・・的で社会的責任によって相互に行動する両性関係とその論理の確立を求めたのであったが、一部の人々は、両性の問題だけを切り離して当時の社会の歴史的、階級的制約の外で急進的に解決し得るものではないという事実を過小評価する結果に陥った。 日本にお・・・ 宮本百合子 「若き世代への恋愛論」
・・・ついて来た農民は、どういう関係で日本の新しい経済機構に結ばれたかといえば、大部分はやはり昔ながらの小作百姓で、耕作の方法も、年貢を現物で払うということも、一家族がすべての労力を狭く小さい土地に注ぎ込む過小農業であるということも、ちっとも変り・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・あるいは、現世紀の人類的な正義であるそれらの運動の意味と実力とを過小評価することである。〔一九四八年八月〕 宮本百合子 「わたしたちは平和を手離さない」
出典:青空文庫