・・・後に道教となり風水説となれり。その道徳的方面に結びつきしは儒教也、易也。而して『書經』『禮記』は五行分子多く、孔子の説は道徳的分子に富みたり。 而してかの陰陽思想は延いてわが國に及び、神代史の構成に影響すること大なりき。〔明治四十五・・・ 白鳥庫吉 「『尚書』の高等批評」
・・・儒学に入っても、道教に入っても、仏法に入っても基督教に入っても同じことである。こういう人が深くはいり込むと日々の務めがすなわち道そのものになってしまう。つづめて言えばこれは皆道を求める人である。 この無頓着な人と、道を求める人との中間に・・・ 森鴎外 「寒山拾得」
魚玄機が人を殺して獄に下った。風説は忽ち長安人士の間に流伝せられて、一人として事の意表に出でたのに驚かぬものはなかった。 唐の代には道教が盛であった。それは道士等が王室の李姓であるのを奇貨として、老子を先祖だと言い做し・・・ 森鴎外 「魚玄機」
出典:青空文庫