・・・まかり間違うと、鼻持ちならぬキザな虚栄の詠歎に似るおそれもあり、または、呆れるばかりに図々しい面の皮千枚張りの詭弁、または、淫祠邪教のお筆先、または、ほら吹き山師の救国政治談にさえ堕する危険無しとしない。 それらの不潔な虱と、私の胸の奥・・・ 太宰治 「父」
・・・ 社会の風教を乱すような邪教淫祠、いかがわしい医療方法や薬剤、科学の仮面をかぶった非科学的無価値の発明や発見、そういうものに世人の多くが迷わされて深入りしない前にそれらの真価を探求したい。官衙や商社における組織や行政の不備や吏員の怠慢に・・・ 寺田寅彦 「一つの思考実験」
邪教の話はいままで沢山あったけれど、この璽光教の話は非常に面白いと思いました。碁の名人、力よりも技術の相撲とりといわれた呉清源、双葉山が、そろってあやつられていたということは、この二人が日本のふるい世界では、もてはやされて・・・ 宮本百合子 「双葉山を手玉にとった“じこう様”について」
出典:青空文庫