・・・そのうち社預かり第五回配本の分まで三分。こうした報告が社の会計から、すでに私の手もとへ届くようになった。 私も実は、次郎と三郎とに等分に金を分けることには、すでに腹をきめていた。ただ太郎と末子との分け方をどうしたものか。娘のほうにはいく・・・ 島崎藤村 「分配」
小林多喜二全集第一回配本を手にしたすべての人々が、まず感じたことは何だったろう。これで、いよいよ小林多喜二の全集も出はじめた。そのことにつよい感動があった。つづいて、小林多喜二全集の編輯は、実に周密、良心的に努力されていて・・・ 宮本百合子 「小林多喜二の今日における意義」
・・・がひろく云われている以上、精神の体位を向上させることも、現代の任務の一つな筈である。 そんなことを考えていた折から河出書房版、新世界文学全集第十一巻、シチェードリンの「ゴロヴリョフ家の人々」が配本されて来て、非常に興味をひかれ、今三分の・・・ 宮本百合子 「翻訳の価値」
出典:青空文庫