・・・空々しく、イギリスの政治家は潔白な生活をしているなどと云っているけれども、そして、フランスの防衛の準備がおくれたのは総てそれら私闘が原因であるかのように云っているが、では、ダラディエやレイノーは、何故そんなに互に対立したり、阻害し合ったりし・・・ 宮本百合子 「今日の生活と文化の問題」
・・・その実際は、六・三制の混乱と、最近全国の専門・大学男女学生が教育防衛復興闘争の一環として立ち上りはじめた学問の自由と独立擁護および授業料ねあげ反対の大運動にもあらわれている。 学生のこういう意志表示を学生の本分にもとるという意見がある。・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・ 日本の歴史はその悲劇的な進行の道すがら、家庭を極めて防衛力の乏しいものとしてしまいました。親に頼らないということが大正時代の娘のほこりでありました。それは人格の社会的目ざめの一段階として考えられましたけれども、今日ではいくじのない娘が・・・ 宮本百合子 「自覚について」
・・・のような生存防衛の意識に、自発的に結集し得るようになった歴史の段階は、やはり一つの新しい一歩です。ソヴェトの防衛ということは、わたしたちが外からデマを通じて理解するよりも、はるかに基本的、人権的問題ですから。 たとえば、社会主義社会の子・・・ 宮本百合子 「質問へのお答え」
・・・文化の擁護、知識の健全性の防衛と云う一般の要求が能動精神の提唱される一つの社会的雰囲気として槓杆の役目をした。文学以前の問題として一般に感じられたこの槓杆の行動的なまた能動的な押し上げは、行動の目的のある一貫性にまたなければ現実性を与えられ・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・装飾と防衛をかねて。その女主人を飾り、優秀な宮女の名声によってその女主人の地位をも高くたもつために紫式部にしろ、清少納言にしろ、傭われていた。そしてまた、更級日記をみてもわかるとおり権門に生れず、めいめいの才智でよい結婚も見出してゆかなけれ・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・そしてソヴェト同盟の人々が献身して愛する彼等の祖国、自分たちの手で、自分たちの生命で、一九一七年から築きあげて来た人民の祖国を侵略から防衛している姿を思いやったことだろう。 私の目の前には、ヴォルガ河が見えた。ヴォルガからスターリングラ・・・ 宮本百合子 「新世界の富」
・・・ この場合、日本の知性が、これまでどおり神経質に感情的であって、人類生活にとって最も大切な一点を守るために共同防衛のための同意点を発見するところまで、理性の成長をとげていないということも、計量のうちに入れられていると思わなければならない・・・ 宮本百合子 「世紀の「分別」」
・・・スクワの細長い書斎で、日本から来た女を前におきながら、私は退屈してしまったわ、曲芸も見あきたし……というようなことをいっていたベラ・イムベルでさえも、包囲されたレーニングラードに翔んでいって、その都市防衛の生活記録を日記風に書いた。「前線通・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・つまり家事労働にもあらわれている労働力搾取に対して、どんなに自分を非人間にして防衛することを学んでいるかということについて。 またこういう話もした。「田舎の男って、ほんとにおっかないったらないの、活動見に行って、かえりなんか三十人も・・・ 宮本百合子 「想像力」
出典:青空文庫