・・・しかし、その後も、毎日または隔日には必らず会っている様子だ。こうなれば、男の方ではだんだん焼けッ腹になって来る上、吉弥の勘定通り、ますます思いきれなくなるのは事実だ。それに、ある日、吉弥が僕の二階の窓から外をながめていた時、「ちょいと、・・・ 岩野泡鳴 「耽溺」
・・・大阪朝日の待遇には余り平らかでなかったが、東京の編輯局には毎日あるいは隔日に出掛けて、海外電報や戦地の通信を瞬時も早く読むのを楽みとしていた。「砲声聞ゆ」という電報が朝の新聞に見え、いよいよ海戦が初まったとか、あるいはこれから初まるとか・・・ 内田魯庵 「二葉亭余談」
・・・ 彼はほとんど隔日には私を訪ねてきてくれた。そしていつも「書けたかね?……書けない?……書けないなら書かないなんて……だから君はお殿様だというんだよ!」こういった調子で、鞭撻を続けてくれたのだ。しかし何という情けないことだろう! 私は何・・・ 葛西善蔵 「遁走」
・・・石田は纏まった休暇を貰わずに、隔日に休むことにしている。 表庭の百日紅に、ぽつぽつ花が咲き始める。おりおり蝉の声が向いの家の糸車の音にまじる。六日は日曜日で、石田の処へも暑中見舞の客が沢山来た。初め世帯を持つときに、渋紙のようなもので拵・・・ 森鴎外 「鶏」
出典:青空文庫