・・・嬉々とした人生の建設のために構図し、労作する、その高き旗じるしとして、婦人の大集団の上に、勇敢に、はためかなければならないのである。〔一九四六年四月〕 宮本百合子 「合図の旗」
・・・つまり、ファシズムに抗議するストライキ、ファシズムに抗議するデモンストレーション、ファシズムに抗議する声明書、それらの集団的な抵抗の裏づけとして本当に一人一人が、自分の生活態度の全面でどんな抗議を行っているか、それを明瞭に意識において見なけ・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・強請して小規模で分散的な副業に止めておこうとする理由は「集団作業の心理状態には被傭人の気持が多く、共同作業場あるいは家庭工業には農業精神が横溢している」とされているのである。 これまでも、日本の女は、実に労を惜しまず、雑多な歴史の荷・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
・・・組合員諸君及集団農民諸君! このテンポをおとすな!」そしてバタ生産に関する農村通信員の面白い批判が掲載されている。バタ工場の支配人を代えろ!バタ工場上ナザロフスキーの支配人ゴルデーエフは生産に従事することを欲していない。工場は無・・・ 宮本百合子 「新しきシベリアを横切る」
・・・伸子は組織について無知であり、社会主義的な集団にも属していない。「伸子」はやがて「二つの庭」からも出る。「道標」の根気づよい時期は、伸子が、新しい社会の方法とふるい社会の方法との間に、おどろくばかりのちがいを発見した時であり、伸子の欲望・・・ 宮本百合子 「あとがき(『二つの庭』)」
・・・ラジオ、新聞、映画、広告宣伝の集団的心理コムュニケーションによって個々の独立の判断はその大波にのまれてしまう危険が注目されてきています。日本にきた教育使節団の人々が、アメリカの子供が漫画でどんなに毒されているかということについてふれていまし・・・ 宮本百合子 「アメリカ文化の問題」
・・・文芸家協会は、大正年代に組織され、古い歴史をもつ日本で唯一の文学者の集団である。理事というところには、日本の代表的著述家・作家が顔をならべている。これらの人々の顔ぶれの世俗的に賑やかな体面上からも、日本の文学が瀕している危機にたいして黙って・・・ 宮本百合子 「ある回想から」
・・・地球上に在るおのおのの集団――国――が、現在どんな有機的関係を持っているか、又、どう云う運命の下に、日夜、同じ太陽を廻っているか。それ等を、わが胸で痛感する者は、決して未だ多過ぎることは無いのである。 近頃、漸々一体の注意を呼び始めた、・・・ 宮本百合子 「アワァビット」
・・・私たちは蓮の花の近接した個々の姿から、大量の集団的な姿や、遠景としての姿をまで、一挙にして与えられたのである。しかも蓮の花以外の形象をことごとく取り除いて、純粋にただ蓮の花のみの世界として見せられたのである。これは、それまでの経験からだけで・・・ 和辻哲郎 「巨椋池の蓮」
・・・ところで彼の政党は私利をのみ目ざす人間の集団であって、自党の利益とは結局党員各自の私利である。彼らはこの集団の力によって政権を握り、その権力によって各自の私利をはかろうとする。しかし政治はかくのごときものであってはならない。明治大帝の詔にい・・・ 和辻哲郎 「蝸牛の角」
出典:青空文庫