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・・・私は黒い鉄の扉に突き当たったが、自分の力で動かし難い事を悟るとともに、鍵穴を探し出す余裕を取り返したのである。三 トルストイやストリンドベルヒの作物を読んでみる。語の端々までも峻厳な芸術的良心が行きわたっている。はち切れるよ・・・
和辻哲郎
「生きること作ること」
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・・・破壊者はただ対象の堅い殻にのみ目をつけて、その殼に包まれた漿液のうまさを忘れている。しかし生活を全的に展開せしめようとするものは、この種の偏狭に安んじてはならない。これ偶像破壊者の危機に対する最第一の警告である。 予は自ら知れる限りにお・・・
和辻哲郎
「『偶像再興』序言」