・・・それは、インドにおける彼女の影響が最高潮にあったとき、ナイチンゲールがクリミヤの経験をどこまでも固執して、炎熱の激しいインドの病院でも、病室の窓々は開放されていなければならないと強硬に主張したために大恐慌を来したという事実である。「彼女の生・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
・・・帝国主義戦争強行のため、日本の封建的専制支配が革命運動に対して、今日ほど兇暴であったことはない。失業、農村の飢餓に苦しむ大衆の革命力の深刻な高揚とそれに対する支配階級の恐怖は、プロレタリア文化団体に対してのうちつづく暴圧、白テロにまざまざと・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・まして、資本主義がファシズムの段階に入り、全く人民の犠牲そのものによって戦争を強行しようとするとき、まさに大量的に屠られようとする生けにえたる人民に、ファシズム戦争の本質を示そうとする者たちがあることなどはもってのほかである。「一億一心」「・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・理論めいたことについて、理解が素朴であるだけにむしろ極端に強硬だが、創作は正直に自身の新しい生活経験の蓄積の貧寒さをあらわして、ろくな小説一つもかけないという、当人にとって苦しく、文学史的には興味つきない時期をももたらしたりした。 今日・・・ 宮本百合子 「両輪」
・・・これ一つを見ても、日本の政府は自分達の利益を守ろうとして戦争を強行して行くためには、人民一般の生活に対してどんなに無責任であり、どんなに破壊的で、自暴自棄な方向を取っていたかということが明瞭である。統計一つさえもなくて、どうしてこれ程厖大な・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・そのすきにつけ込んで、野心のある侍が、大将の機に合うような強硬意見を持ち出すと、大将はただちに乗ってくる。野心家はますますそれを煽り立てて行く。その結果、大将は、智謀を軽んじ、武勇の士をことごとく失ってしまうことになる。なぜかと言えば、侍の・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫