・・・それを特に何事かの欠如に帰して考えようとするのは、偶像礼拝の心理をあまりにも軽視するからである。かの時代においては宗教家は何らかの程度において必ず芸術家でなければならなかった。それは当時の宗教の内奥から出た必然であった。そうしてそこに偶像礼・・・ 和辻哲郎 「偶像崇拝の心理」
・・・は青春期においては、その感覚的刺激の烈しくない理由によって、きわめて軽視されやすいものです。しかしその重大な意義は中年になり老年になるに従ってますます明らかに現われて来ます。青春の弾性を老年まで持ち続ける奇蹟は、ただこの教養の真の深さによっ・・・ 和辻哲郎 「すべての芽を培え」
・・・二 私はこの出来事が小さい家常茶飯の事であるゆえをもって、その時の自分の心の態度を軽視する事はできなかった。むしろそれがきわめて単純にまた明白に、自分の運命に対する愛と反撥とを示してくれたゆえをもって、いくらかの感謝の内にこ・・・ 和辻哲郎 「停車場で感じたこと」
出典:青空文庫