・・・kTulikTelicaTalangTaraweraTalasiquinTultulTurrialbaTjilering このほかにまだコマ・カンプ型、クジウ型およびイワウ型が・・・ 寺田寅彦 「火山の名について」
・・・ 絵巻物の色々な場面の排列、モンタージュまた一つの場面の推移をはこぶコマ数の按配、テンポの緩急といったようなものに対する画家の計画には、ちょうど映画監督、編輯者のそれと同様な頭脳のはたらきを必要とすることがわかる。 映画としてのこの・・・ 寺田寅彦 「山中常盤双紙」
・・・天秤棒をキシませながら、ふれ声をあげて、フト屋敷の角をまがると、私と同じ学帽をかぶった同級生たちが四五人、生垣のそばで、独楽などをまわして遊んでいるのがめっかる。するともう、私の足はすくんでしまって、いそいで逃げだそうと思うが、それより早く・・・ 徳永直 「こんにゃく売り」
・・・で、栄升の左衛門、雷蔵の善三郎と家康、蝶昇の茶坊主と馬場、高麗三郎の鳥居、芝三松の梅ヶ枝などが重立ったものであった。道具の汚いのと、役者の絶句と、演芸中に舞台裏で大道具の釘を打つ音が台辞を邪魔することなぞは、他では余り見受けない景物である。・・・ 永井荷風 「深川の散歩」
・・・落されたる拍子に、はたと他の一疋と高麗縁の上で出逢う。しばらくは首と首を合せて何かささやき合えるようであったが、このたびは女の方へは向わず、古伊万里の菓子皿を端まで同行して、ここで右と左へ分れる。三人の眼は期せずして二疋の蟻の上に落つる。髯・・・ 夏目漱石 「一夜」
・・・「独楽どくらくぎん」と題せる歌五十余首あり。歌としては秀逸ならねど彼の性質、生活、嗜好などを知るには最便ある歌なり。その中にたのしみはあき米櫃に米いでき今一月はよしといふ時たのしみはまれに魚烹て児等皆がうましうましといひて食・・・ 正岡子規 「曙覧の歌」
・・・島崎土夫主の軍人の中にあるに妹が手にかはる甲の袖まくら寝られぬ耳に聞くや夜嵐 上三句重く下二句軽く、瓢を倒にしたるの感あり。ことに第四句力弱し。狛君の別墅二楽亭広き水真砂のつらに見る庭のながめ・・・ 正岡子規 「曙覧の歌」
・・・蕪村かつて大高源吾より伝わる高麗の茶碗というをもらいたるを、それも咸陽宮の釘隠しの類なりとて人にやりしことあり。またある時松島にて重さ十斤ばかりの埋木の板をもらいて、辛うじて白石の駅に持ち出でしが、長途の労れ堪うべくもあらずと、旅舎に置きて・・・ 正岡子規 「俳人蕪村」
・・・ 今は風があんまり強いので電信柱どもは、本線の方も、軽便鉄道の方もまるで気が気でなく、ぐうん ぐうん ひゅうひゅう と独楽のようにうなっておりました。それでも空はまっ青に晴れていました。 本線シグナルつきの太っちょの電信柱も、もうで・・・ 宮沢賢治 「シグナルとシグナレス」
・・・上り端の四畳の彼方に三畳の小間がある。そこが夫婦の寝起きの場所で夕飯が始まったらしい。彼等も今晩は少しいつもと異った心持らしく低声で話し、間に箸の音が聞えた。 陽子はコーンビーフの罐を切りかけた、罐がかたく容易に開かない、木箱の上にのせ・・・ 宮本百合子 「明るい海浜」
出典:青空文庫