・・・の主人公は時代が推移して明治が来るとともに没落せざるを得なかった宿場本陣の主、精神的には本居宣長の思想の破産によって悲劇的終焉を遂げざるを得なかった男である。作者藤村氏が、抒情的な粘着力をもって縷々切々と、この主人公とそれをめぐる一団の人々・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・ 非道な力は終焉に瀕している、それだからこそ国際的な民主主義者の生命を奪うようなことさえせざるを得なくなって来ていることを、尾崎秀実氏は明瞭に知っていた。家族の方々の今後の生活方針について細々と書かれている中に、金銭の価値の変化によせて・・・ 宮本百合子 「人民のために捧げられた生涯」
・・・ ×しかし時を経て、今日この不幸な分化の終焉はせまっている。再び人間は統一へ、霊と肉との調和をもってしかも休止し、妥協することない活動へ向う時代にさしかかっている。 ドストイェフスキーの考えかたをふえんすれば「現代は個々の精神が・・・ 宮本百合子 「ツワイク「三人の巨匠」」
・・・ 一八三一年から終焉の二年前、最後の作となった「現代史の裏面」に至るまでに書かれた大小百余篇の作品の箇々についての穿鑿は、更に適当な研究者の努力に俟たなければなるまい。何故なら、「人間喜劇」の登場人物とそのモデルと、人物再出をしらべるだ・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
出典:青空文庫