・・・ だが、明治の初頭、『女学雑誌』を発行した人々が胸に抱いていた情熱、日本では半開のままで次の波をかぶってしまった男女の人間的平等への希望は今日どのような変貌をとげて、どこに生きつづけているであろうか。今日のロマンティシズムさえ日本では女・・・ 宮本百合子 「歴史の落穂」
・・・そしてヨーロッパが戦禍に陥った機会に乗じ、日本は更に手を伸ばして真珠湾、南洋諸島、東亜諸国に侵略を始めた。 人が重い病気に罹った時、それを癒すために協力するのが人間らしい仕業であろう。或は、その病気を一層重くさせ一層余病を併発させ、命を・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・もしすでに彼らが先駆者であったとすれば、二十世紀初頭の兵乱と災厄との前で、人々はこの新しい道を凝視しなければならぬ。四 破壊せらるべき偶像がまた再興せらるべき権利を持つという事実は、偶像破壊の瞬間においてはほとんど顧みられな・・・ 和辻哲郎 「『偶像再興』序言」
出典:青空文庫