・・・それらが、美化された労働・労働を眺めるもののロマンティシズムにたって謳われていることだけを云々するのは妥当を欠くであろう。藤村の歴史性、個人の境遇的な特質が、こういう風に積極的に人間と自然との結びつきを謳ってもなお歴然たるところに、未来の詩・・・ 宮本百合子 「藤村の文学にうつる自然」
・・・このことは誰の眼にも妥当な法律の適用でないという感情をもたせた事実を語っている。前後二十余回に亙って宮本が病苦をおして「懇々」という形容詞をつけてよいほどスパイ摘発の意味と事実を論告したにもかかわらず、主文にあらわれた判決理由は十一年前宮本・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・これは妥当な註解であると思われる。然しながら、エンゲルスの手紙からの上記の引用を基礎として、エンゲルスは、「バルザックのリアリズムは革命的であると見ているのである」とやつぎ早に結論しているのは、理解に或る困難を引おこされる。ゾラのバルザック・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・その理由が現在の事情で客観的にも妥当性をもっていることは、教育委員会の選挙のとき来訪された方も理解されていました。 わたしの文学的活動の階級性についてもこまかく説明したとおりです。もとより、わたし一人の作品が民主主義文学の全部を代表す・・・ 宮本百合子 「文学について」
・・・ だが数日のうちに組織の名称を第二「文戦」打倒同盟と変えた。彼らは、日本の階級闘争の現実とハリコフ会議で行われた国際的批判とによって、いわゆる「文戦派」のファッショ化が、どんな階級的裏切りであるか、自己瞞着しきれなくなって来た。「ナップ・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・ 今日ソ同盟の社会的業績に対する関心の中には、この極端な一つの実例が暗示しているような感情の方向をも包括していると見るのが妥当なのだろう。 ジャーナリズムのこの流行の潮にのって『文芸』八月号に勝野金政なる人物の「モスクワ」という一文・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
答 ナップでは加盟させます。 文戦を脱退した人は、第一次の脱退の場合も最近の第二次の場合にも、すぐ文戦打倒同盟というものを自主的に組織してナップ加盟と同時に、自分たちの階級的立場を明瞭にしてきました。 日本における・・・ 宮本百合子 「文戦脱退はなぜすぐナップに加入出来るのか?」
・・・だが、そこに横たわった変化について、理論的形式をとってより明確な妥当性を与えなければならないとなると、これは少なからざる面倒なことである。先ず少くとも一応は客観的形式なるものの範疇を分析し、主観的形式の範疇分析をした結果の二形式の内容の交渉・・・ 横光利一 「新感覚論」
出典:青空文庫