・・・ 久しぶりで彼を故郷へ呼びかえした点呼。強制献金。それ等の機会を、彼は階級的方向に転用しようとするのである。 K部落の土着で、「ふん、自家用か、お前も役場の衆みたいなことをいう! これ以上、どうして芋が食える。朝食うて、昼食うて晩食・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・ 一月○日 十日に入営する隆ちゃんより来信。点呼のとき青年団員が復唱するような勇壮な調子で入営について書いてあり、又ほのかな思い出を家にのこしてとても優しく書いてあったり。姉上の御全快と御幸福をおいのりいたします。そして最後に「・・・ 宮本百合子 「寒の梅」
・・・この男は、夏にある点呼の時にいつでも、厚い冬着を着て行って、湯をあびて帰って来るのが常だ。何故そんなひどい思をするのかときく人があると、「戦の時きあ、夏と冬の入りまじった時があるかんない、夏になったとて、衣裳換え出来ねえ時はあるし。・・・ 宮本百合子 「農村」
出典:青空文庫