・・・それは役所の日課の時間割によって、忠実になされているのであるから。私はしまいに、ラジオで音楽が鳴り出すと、決して終りまで心持よく聴くことなどを初めから期待しないという抵抗力をつけた。さもなければ、緊張と中絶との全然受動的なくり返しで、かえっ・・・ 宮本百合子 「芸術が必要とする科学」
・・・の働きを見るのが、彼の新しい飽きることのない日課となったのである。 或る日、六はいつもの通り小屋へ行こうとして家を出かけた。 そして、とある林の傍へ来かかると彼の目には妙なものが見えた。赤い小さい、可愛い椅子が、何かをのせて空の真中・・・ 宮本百合子 「禰宜様宮田」
・・・一週間に一遍ずつ市ヶ谷に面会にゆくことが日課になった。宮本がともかく警察で殺されないで市ヶ谷に行ったということは私を大変安心させた。小説の書ける気持になった。小説「乳房」を中央公論に発表した。この小説は後にソヴェトで革命文学の文集に集録され・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・たちのわるい残酷ないたずらをするのが日課であるいとこたち。ゴーリキイの不安な毎日の中で、たった一つのよろこびと慰めとなったのは、おばあさんでした。昔話が此上なく上手で、人間は、辛棒づよく正しく親切をつくし合って生きるべきものであることをいつ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイについて」
・・・リュシアンの日課 軍務。ナポレオン戦史講義 騎兵の操兵法チェスのようにして そういう日課が習慣となって来た、 p.91―若い少尉のあらゆる感覚が鈍って来た ○ ――殆ど自分・・・ 宮本百合子 「「緑の騎士」ノート」
出典:青空文庫